不動産購入時の資金計画を立てる上でのポイント【マイホーム編】

この記事を読むと、不動産購入時にお客様の資金計画を立てる上でのポイントが分かります。

この記事を書いた人
井口
不動産会社を経営。これまで自身でも700件以上の売買仲介を成約させた経験から、新人営業担当向けに情報発信中
✔公認不動産コンサルティングマスター
✔MBA(経営学修士)
✔ファイナンシャルプランナー

こんにちは。不動産営業の教科書こと井口(@fukuoka_fudosan)です。

今回は、「不動産購入時の資金計画を立てる上でのポイント」についてお伝えしていきます。

不動産というのは、大きくマイホームか投資用物件かの2つに分けることができますが、今回はマイホームを購入する際の資金計画についてお話していきます。

こんな人にオススメ
・新人営業担当
・ローンの提案に悩んでいる人
・ローンを組むために何をヒアリングすべきか分からない人

【この内容は動画でも解説しています。

こちらの記事の内容をYouTubeでも解説しています。

ローンはどれだけ組んでよいのか?

不動産購入には、住宅ローンを組むことが一般的ですが、返済額を決めるには様々な要素があります。

ローンを組む際は、金利や借入期間などの融資条件だけでなく、

・毎月のローンの返済額
・固定資産税
・管理費・修繕積立金

など、住宅を所有する際にかかる経費を考慮する必要があります。

お客様の不安を解消してあげる

借入可能な金額は、年収に応じて異なりますが、借りれるからどこまでも借りてよいというわけではありません。現在の生活費や、住んでいる賃貸物件の家賃と比較し、月々返済ができる範囲を把握することが重要です。

井口
例えば、今の年収であれば月々15万円まで返済可能な人が居たとします。しかしの元々の家賃が10万円だった人がいきなり15万になるのはきついと思います。ですので、どこまで支払い可能か、というすり合わせは必要です。

金融機関としても、「住宅ローンの返済比率を年収の30%以内に抑えるように」と言ってくる事が一般的です。私たち営業担当としても、お客様の生活費やライフスタイルに合わせて、例えば月々1万、2万支出が増えても大丈夫か、と言う事を確認しながらローンの提案を行う事が求められます。

このように、購入前に細かい経費や支払いスケジュールを確認し、無理のない返済計画を立てることで、お客様の返済に対する不安を解消してあげる事が大切です。

収入に対して借入希望額は妥当か

住宅ローンを組む際、返済期間がいつ終わるかということが気になるお客様がいます。

一般的に、最大の返済期間は35年ですが、定年退職など将来的な見通しを考慮して短めの返済期間を希望するお客様もいます。

しかし、返済期間が短くなると当然月々の返済額が増えるため、早く返済したいという気持ちが生まれます。

もちろん返済期間を短くすることもできますが、その結果、月々の返済計画や年収に対する返済率が高いと、金融機関に「返済額が高すぎてローンを組めない」と断られる場合があります

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したがって、短い期間で返済したいというお客様に対しては、事前に返済比率について確認し、金融機関ともすり合わせしながら顧客に提案する必要があります。

ローンはネット銀行を使うべきか?

現在、住宅ローンの金利は、ネット銀行をはじめとした金利が低い銀行が多数存在します。

ただし、実際には事務手数料が高く、金利が安く見えるだけであることもあります。地方銀行では事務手数料がほとんどかからないため、2%程度の金利でも実質的なコストは低くなる場合があります。

井口
このように、営業担当の方は単純な金利だけでなく、手数料も含めた総合的なコストを把握し適切な銀行を選択する必要があります。

要するに、金利に加えて手数料も重要なポイントであることを忘れずに、情報を整理し、慎重に判断することが大切です。

また、自己資金の有無や、将来的に必要な非常用資金の確保なども重要な要素です。近年は、諸費用を含めた貸し付けも行われており、頭金を出さずに済む場合もありますが、その場合は月々の返済額が増えることもあります。ライフスタイルや家族構成なども考慮しながら、最適な選択を行うことが重要です。

購入時に掛かる諸費用

不動産を購入すると様々な費用が掛かります。

例えば物件価格が1000万円~5000万円の場合は、売買契約書に貼る印紙代が1万円掛かります。

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時代によって印紙代の税金が変わる事があるため、適宜確認が必要です。

その他にも、以下のような費用が発生します。

不動産購入時の費用
・登記費用
・銀行の事務手数料
・火災保険、
・仲介手数料(売買金額の3%に6万円)
・不動産取得税
など

購入資金援助の贈与税対策

営業の方にぜひヒアリングして頂きたいのが「贈与」についてです。

マイホームを購入する際に、親から援助してもらうというケースも少なくありません。その際、気を付けるべきが贈与税対策です。

マイホーム購入における贈与税
自分の財産を無償で相手方に贈るという意思表示をして、相手方がこれを承諾することによって成立する契約の一種です。

基本的に相手には贈与税が課されますが、マイホーム購入においては、例外的に税金をかけずに、お金を援助することができる場合があります

今回の対象は、親から子供へ贈与です。2023年現在、年間110万円までの贈与に対して、特別控除があり無税で贈与することができます。

マイホーム購入においては、省エネ性能が高い不動産を購入する場合、最大1000万円まで税金のかからない贈与が受けられます。

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また、この諸条件を満たせば中古住宅でも最大500万円まで控除できることもあります。

いずれにしろ、無税で現金を親から子供に渡すことができるため、非常に有用な手段となります。

まとめ

不動産購入においては、ローンの組み方や購入時にかかる諸費用、購入資金援助による贈与税対策など、様々なポイントがあります。

そのため、営業担当者はお客様の不安を解消し、収入に対して妥当な借入希望額を提案することが大切です。

また、購入時には、諸費用や税金についても考慮する必要があります。

特にご家族からの支援がある場合、省エネの不動産や中古住宅など、諸条件を満たすせば500万円~1000万円まで無税で現金を贈与することができるので、必ず条件を確認しましょう。

これらのポイントを押さえて、お客様に最適な購入プランを提案することが、私たち不動産営業の役割です。

今回お伝えした事が、皆さんの営業の一助になれば幸いです!

当メディア「不動産営業の教科書」では、不動産営業の方々に役立つ情報をお伝えしていきますので、ぜひYouTubeチャンネルや、別の記事も参考にしてみてください。

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ABOUT US

井口 忠二株式会社 アスパートナー 代表取締役
明治大学商学部卒業。グロービス経営大学院卒業。 三井不動産グループ会社で8年間不動産売買仲介営業に従事。東京23区でエリアトップセールスを2年連続受賞する。東京と福岡で勤務し、5年連続優秀営業社員賞受賞。 その後、株式会社アスパートナー設立。 公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、MBA(経営学修士)、相続対策専門士、AFPファイナンシャルプランナー、損保トータルプランナー