【急なキャンセルを防ぐ】購入申込書を受領する時に気をつけるポイント

 

こんにちは。不動産営業の教科書です。

このメディアでは、不動産営業担当の方々のお悩みを解決する情報をお届けしています。

私、井口はこれまで700件以上の仲介売買成約の経験をさせていただき、株式会社アスパートナーという不動産会社を経営させていただいております。

私のキャリアの中で、

  • つまづいたこと
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など、経験に基づく、役立つ情報をお伝えしていきます。

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では、本題に入りましょう!

本日のテーマは「購入申込書を受領する際に気をつけるポイント」です。

私自身、20年以上の売買仲介や賃貸管理の経験の中でも、申込後のキャンセルはたくさん経験してきました。

その経験の中で学んだ、「直前キャンセルを防ぐための、気をつけたほうが良いポイント」がたくさんありますので、今回はこちらをご紹介していきます。

【この記事は動画でも解説しています】

 

購入申込み受領の際に気をつけるべきポイント①:周辺環境の理解

まず大事になるのが、周辺環境を十分にご理解いただくという事です。

実際に弊社であった事例として、物件自体はとても気に入っていただき、お申込みを進めていた中で、お客様が「裏の路地が暗い」という事に後から気づかれてキャンセルになってしまった…という事がありました。

これは、大通りだから明るくて雰囲気もよかったけれど、一本裏路地に入ると街灯が暗く、昼と夜のイメージが違った…という事に、後からお客様が気づかれたというケースです。

このような途中キャンセルを防ぐためにも、生活動線(コンビニ・スーパー・病院など)を十分に理解していただくことが大切です。

購入申込みを書いて頂く前に、これらの生活動線や住環境について、十分にご確認をしていただけるようご案内しておくようにすると良いでしょう。

 

購入申込み受領の際に気をつけるべきポイント②:引き渡し条件の確認

次に気をつけておきたいのが、引き渡し条件の確認です。特に土地や戸建ての取引の場合は、これらの条件の確認は必須です。

 

引き渡し条件の例1:残置物

例えば、戸建の場合、残置物があるケースが多いので必ず確認しておく必要があります。残置物の例としては、庭、倉庫などです。

また、実際に弊社であった事例では「未登記の建物」が存在したケースがあります。これは売主様も未登記の建物があることに気づいておらず、トラブルになったという事例です。

このように、建物の「登記情報、平面図(法務局で調べられる情報)」と、現地と照らし合わせてみると、登記されていない建物が見つかる事があります。

このように登記されていない建物があった場合には、どのような引き渡し条件になるのかを買主様にご理解いただいていないと、トラブルに発展する可能性があります。

私自身、過去の経験から学んでいるのが、「未登記の建物があると銀行融資が通らない事がある」という事です。

銀行側も未登記の建物のまま、住宅ローンをつけて抵当権をつけて購入されるという事を嫌がることがあります。

このような場合、銀行側からの要望として、この未登記の建物に関しては、できれば解体してほしい、もしくは登記してほしいという話になることが多いです。

銀行側の要望と、売主様のご意向まで考慮して、どのような引き渡し条件にするのかを、十分にすり合わせておきましょう。

 

引き渡し条件の例2:測量

また、測量を誰が行うのかも事前すり合わせが必須です。

測量自体を「売主様が行うのか、買主様が行うのか」も十分にすり合わせをしておく事が大切です。

また測量のやり方についても明確にしておく必要があります。下記の中からどのような形式を選択するのかも事前にすり合わせをしておきましょう。

  • 「確定測量(官民測量)」:行政が立ち会いのもとで測量を行う方法
  • 「民民測量」:お隣さん同士で境界を定める方法

この中のどれを求めるのか、お客様同士が納得した形で進めることが大切です。

 

引き渡し条件の例3:解体に関して

売買される建物が古い場合には、解体が発生する場合があります。

よくあるケースとして隣地のブロック塀が共有なのかどうかわからない場合があります。このような場合はお隣さんとの合意をとってから取引を進めることが大切です。

もちろんベストなのは事前に境界が定まっていることですが、測量費用などの問題で売主様が「測量をしません」という場合もあります。

また、古い建物があった場合、売主様が解体して更地で引き渡す「解体渡し」を選択するのか、逆に「古い建物のまま建物も土地も所有権を移転する」ことを選ぶのか、事前に明確にしておきましょう。

 

購入申込み受領の際に気をつけるべきポイント③:家族・親族の同意

これも過去に経験した実例なのですが、買主様が申込みをされたあと、時間が経ってから「親戚に反対された」という理由でトラブルになったケースがあります。

このようなトラブルに発展しないよう、奥様・ご主人さま・そのご家族・ご親戚など、同意を取るべき相手がいるかどうかを、仲介会社がきちんと確認しておくことが大切になります。

特に資金援助や贈与がある場合は、それをやってくれる方々にもしっかりと現地を見ていただいて、ご納得いただいた上で申込みを進めることに気をつけましょう。

 

購入申込み受領の際に気をつけるべきポイント④:金額交渉について

金額交渉に関しても、買主様と「どのようなスタンスで望むか」をすり合わせておくことが大切です。

不動産売買は、当然ながら「売主様は高く売りたい」「買主様は安く買いたい」というせめぎ合いがあります。

もちろん仲介会社としては、買主様のために「価格交渉をしてあげたい」という思いはあります。

ですが逆に、売主様側の視点で考えると「価格交渉をしてきた希望者」と「価格交渉をせず、最初から満額で話を進めてくれている希望者」がいた場合、当然ながら後者に売りたいということになります。

特に人気の物件の場合は、すぐに売れてしまいますし、売主様としても「価格交渉に応じなくても売れる」という自負もあることも多いです。

このような場合、価格交渉をしてしまった事が原因で、後から来た買主様に物件を取られてしまう…というリスクがあることも十分に考慮して、申込みに望む必要があります。

 

購入申込み受領の際に気をつけるべきポイント⑤:資金計画について

資金計画についての確認も非常に大切です。もちろん、第一次接客のときに、「このような資金計画で月々の返済が問題ないか」といった確認は必須です。

その上で、物件独自に違う、

  • 管理費
  • 固定資産税
  • 修繕積立金
  • 駐車場の料金

などまで、確認して手続きを進めることが肝心です。

さらに銀行金利についての事前説明も、とても大切です。

特に昨今は住宅ローン金利も1%を切ってくるような時代です。

どの金融機関で借りたいか、借り入れの年数、変動金利なのか固定金利なのか、フラット35なども考慮した上で、資金計画をすり合わせておきましょう。

また、買主様の中には「複数の銀行に同時に申込みをしてよい」事を知らず、一つの銀行に絞らないといけないと思いこんでいる方もいるので、同時に進められる事もお知らせしてあげるようなアドバイスも大切です。

複数の銀行を比較して、できるだけ条件が良い所を最終的に採用するような方法を取ると買主様に喜ばれるでしょう。

また、マンションなどの場合は「修繕積立金の値上がりがないか」に関しても、事前に買主様にご理解していただくことがポイントです。

どんな買主様でも、修繕積立金などの値上がりをいきなり伝えられると、嫌だと感じます。このような事態を防ぐためにも、予め長期修繕計画についてもしっかりとお伝えしておきましょう。

 

まとめ

お客様にご満足していただくためにも、成約率を高めたり、キャンセルを防ぐためにも、下記のポイントに注意して購入申込みに臨みましょう。

  • 周辺環境の理解
  • 引き渡し条件
  • 家族・親族の同意
  • 金額交渉
  • 資金計画

皆様のご案内が上手くいくことを願っています。

当メディア「不動産営業の教科書」では、不動産営業の方々に役立つ情報をお伝えしていきますので、ぜひYouTubeチャンネルや、別の記事も参考にしてみてください。

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ABOUT US

井口 忠二株式会社 アスパートナー 代表取締役
明治大学商学部卒業。グロービス経営大学院卒業。 三井不動産グループ会社で8年間不動産売買仲介営業に従事。東京23区でエリアトップセールスを2年連続受賞する。東京と福岡で勤務し、5年連続優秀営業社員賞受賞。 その後、株式会社アスパートナー設立。 公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、MBA(経営学修士)、相続対策専門士、AFPファイナンシャルプランナー、損保トータルプランナー