不動産営業の方必見!売却希望のお客様へのヒアリング方法

こんにちは。不動産営業の教科書です。

このメディアでは、不動産営業担当の方々のお悩みを解決する情報をお届けしています。

私、井口はこれまで700件以上の仲介売買成約の経験をさせていただき、株式会社アスパートナーという不動産会社を経営させていただいております。

私のキャリアの中で、

  • つまづいたこと
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など、経験に基づく、役立つ情報をお伝えしていきます。

ぜひ皆様のお悩み解決にお役立てください!

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では、本題に入りましょう!

本日のテーマは「売却希望のお客様へのヒアリング方法」です。

どういった内容をヒアリングしたら良いかというテーマをもとに、お話をさせていただきたいと思います。

まず、売主様から不動産の売却案件を獲得するのが不動産会社の生命線の一つです。

今回は、実際の事例をもとに「どうやったら売主様から売却の物件を預かり易くなるか」について、皆さんにご紹介していきたいと思います。

【この記事は動画でも解説しています】

ポイント①:売却理由を明確にする

私たちの会社では、お客様相談シートを使い、売主様の基本情報を埋めていきます。

お客様相談シートとは、住所・家族構成 勤務先・勤続年数・年収 自己資金・現在の借入状況・住み替え希望エリア・駅からの距離・間取り・広さ などを記載するヒアリングシートです。

このお客様相談シートを埋める上で、一番押さえるべきポイントは不動産の「売却理由」です。

なぜなら、売主様は様々な選択肢を考えているからです。

(例)売主様の選択肢
・売却する
・賃貸として貸し出す
・レンタルスペースとして貸し出す
・親族に貸す
など

このように、売主様は数ある選択肢から最終的に「売却したい」と言う思いに至っています。

そのため、どういう家族構成で、どのような事情から売却したいのか、などその理由を明確にしていく必要があります。

ポイント②:売却物件の概要

次に、売却する物件を確認する上でのポイントをお伝えします。

売却物件で確認すべきポイント
・居住中 or 賃貸中か
・賃貸中の場合、いくらで貸し出しているか
・居住中の場合、部屋の状態はどうなっているか

売却物件で、最初に確認すべきは居住中なのか、賃貸中なのかです。なぜなら査定金額が異なるからです。

もし売却する物件が居住中(ご自宅)であれば、実際に部屋の中を見学させていただき、室内の保守状況やリフォーム状況を確認します。

ここで一つ悩みどころがあるとすれば、リフォームの提案をするかどうかです。

結論から言うと、基本的にリフォームの提案はしません

なぜなら、賃貸の場合は原状回復して(部屋を綺麗にして)貸し出しますが、売却の場合は新しく買った人が自分でリフォームするというケースも多くなってきているからです。

例えば、自分のカラーに合ったクロスを貼ったり、自分が好きな色の床にしたりと、買主様が自由にカスタマイズしたいというニーズが一定数あります。

つまり、売主様が費用をかけたからと言って、必ずしも高く売れるというわけではありません。

したがって、リフォームの提案はせず現状のまま売りに出す事が多いです。

ポイント③:買い替え有無と資金計画

売却相談に乗る際、お客様が不動産を売却した後にその資金をどうするのか、と言う事もヒアリングしてください。

せっかく売却のお手伝いをしたわけですから、できることなら買い替え(仲介)のお手伝いもしたいですよね。

そのためにも、お客様の資金計画を把握することが重要です。

不動産を売って、そのお金で

・新しく家を購入したいのか
・生活資金にするのか
・老後資金にするのか

など、お客様の資金計画を把握する事で、そもそも買い替えが必要なのか否かを判断する必要があります。

例えば、5,000万円で不動産を売るとして、いろんな諸経費や税金を引いて3,500万円が手取りだとします。この時、本当に3,500万円全額使って不動産を買う必要があるでしょうか?

お客様の中には、2,000万円くらいの不動産を購入して、残りの1,500万円は老後資金としてストックしたいという方や、生活の足しにしたいという方もいます。

このように、色々なライフプランをお持ちの方がいるため、(お客様の家族構成や年齢なども踏まえ)その方のライフスタイルに合わせて不動産の買い替えを提案する必要があります。

また、売却時には査定を依頼されることもあります。その際に注意すべきは、ローンの残債がどれくらいあるかを確認する事です。
(登記簿謄本を取ると、抵当権など、買った当初にどれくらい借入したのかが載っています)

不動産を売却した利益でローンを返すわけですから、必ずローン残債は確認しておきましょう。

ポイント④:売却物件取得の経緯を確認

駆け出しの頃、お客様にお伝えし忘れがちなのが、不動産を売却時に掛かる譲渡所得税という税金です。

譲渡所得税とは
不動産売却時に得た利益にかかる税金のことで、具体的には「所得税」と「住民税」を指します。

譲渡所得税は、税理士か税務署に確認して頂くことで、正確な金額を知る事ができます。

私たち不動産営業をやっている人間としては、この税の知識があるというのは信頼の証です。

したがって、売主様には(購入した際の売買契約書を確認させていただき)売却益から、当時の購入金額や減価償却費など諸々の経費を差し引いて、どれくらい利益幅を得る事が出来るかをお伝えしています。

不動産売却にかかる経費の例
・仲介手数料
・印紙税
・抵当権抹消費用
・住宅ローン返済手数料
・譲渡所得税・住民税
・その他の費用

このように、不動産営業をする上で、最低限の税の知識は身に付けておかなくてはなりません。

税金に関しては、後で詳細な金額をお伝えするという方法もありますが、やはりその場で概算の金額を出せた方が、お客様からの信頼が厚くなります。

たまに契約書を持ってない方もいらっしゃいます。契約書を持ってない場合は原則として概算取得費と言って、譲渡収入金額×5%の金額で購入した事になります。

例えば、契約書を持っていない方が3,000万円で不動産を売却したとしたら、当時150万円で不動産を購入したという見解になってしまいます。そうすると、税金も莫大なものになってしまうので、必死で当時の売買契約書を探してもらう事になります(笑)

ポイント⑤:売却条件の確認と提案

不動産売却する際、物件保有期間が税率に影響するため、何年間保有しているのかというのも大事なポイントです。

保有期間と税率
5年未満の場合 (分離短期譲渡所得) = 所得税30%、住民税9%の税率
5年以上の場合 (分離長期譲渡所得) = 所得税15%、住民税5%の税率

例えば、保有期間が4年半だとしたら、あと半年持つと税率が安くなるので、それ以降に売却しましょうとと言うご提案もできます。

このように、きちんと戦略立てて提案するのが、お客様に満足して頂く秘訣です。

まとめ

今回は、売却希望のお客様に対して、ヒアリングする際に気を付けるべきポイントについてお伝えしました。

お客様からの信頼を勝ち得るためにも下記の事に注意してヒアリングしていきましょう。

  • 売却の理由
  • 売却物件の概要
  • 買い替え有無と資金計画
  • 売却物件取得経緯
  • 売却条件

それでは、皆様のご案内が上手くいくことを願っています。

当メディア「不動産営業の教科書」では、不動産営業の方々に役立つ情報をお伝えしていきますので、ぜひYouTubeチャンネルや、別の記事も参考にしてみてください。

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ABOUT US

井口 忠二株式会社 アスパートナー 代表取締役
明治大学商学部卒業。グロービス経営大学院卒業。 三井不動産グループ会社で8年間不動産売買仲介営業に従事。東京23区でエリアトップセールスを2年連続受賞する。東京と福岡で勤務し、5年連続優秀営業社員賞受賞。 その後、株式会社アスパートナー設立。 公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、MBA(経営学修士)、相続対策専門士、AFPファイナンシャルプランナー、損保トータルプランナー