不動産営業で知らない人はいない?!身に付けるべき知識 ~金融、経済、法律~

この記事を書いた人
井口
不動産会社を経営。これまで自身でも取引総額100億円以上の売買仲介を成約させた経験から、新人営業担当向けに情報発信中
✔公認不動産コンサルティングマスター
✔MBA(経営学修士)
✔ファイナンシャルプランナー
✔パーソナルファイナンス教育インストラクター
✔剣道7段

こんにちは。「不動産営業の教科書」こと株式会社アスパートナ―の井口(@fukuoka_fudosan)です。

不動産営業において成果を上げるためには、金融や経済、法律の知識が欠かせません。

そこで今回は、金利の重要性から始まり、民法や宅建業法のポイント、さらには新たな法令の変更点まで、幅広い視点から不動産に関する知識をお伝えしていきます。少し眠くなる内容かもしれませんが、ぜひ最後まで一読してみてください!

こんな人にオススメ
・不動産営業を始めたばかりの人
・金利、不動産業界に関連する法律などについて知りたい人
・不動産業界に興味がある人

【この記事は動画でも解説しています】

それでは内容を見ていきましょう。

金利の把握

まずは金利についてです。金利は不動産取引において最も重要な要素の一つです。

固定金利と変動金利の違い

固定金利と変動金利は、不動産ローンや融資において利用される金利の種類であり、借り手にとって重要な選択肢です。それぞれの特徴や利点、欠点について解説します。

固定金利とは?

固定金利は、融資期間中に金利が一定で変動しない形式です。つまり、契約時に設定された金利が融資の終了まで一貫して適用されます。これにより、毎月の返済額が安定し、金利上昇の影響を受けにくくなります。

メリット
予測可能性: 固定された金利のため、融資期間中の返済額が安定しており、借り手は将来の返済計画を立てやすくなります。
金利上昇リスクの回避: 金利が上昇しても、契約時の金利が維持されるため、追加の負担が発生しません。
デメリット
初期金利が高い: 固定金利は変動金利よりも初期金利が高めに設定されることがあります。
金利が下がっても恩恵を受けにくい: 市場金利が下がった場合でも、契約時の金利が変わらないため、低金利の恩恵を受けることができません。

変動金利とは?

変動金利は、金利が市場の状況に応じて変動する形式です。金利が変動するため、返済額も変動します。変動金利は通常、特定の指標(例: 短期プライムレート)に基づいて決定されます。

メリット
初期金利が低い: 通常、変動金利は初期金利が比較的低い場合があります。
金利が下がれば恩恵を受けやすい: 市場金利が下がると、返済金額も減少するため、低金利の時期には追加の利益が得られます。
デメリット
返済額の不確実性: 金利が変動するため、将来の返済額が予測しにくく、不確実性が生じます。
金利上昇によるリスク: 市場金利が上昇すると、返済額も増加する可能性があります。

不動産取引においては、固定金利と変動金利の選択は個々の状況やリスク許容度によって異なります。慎重に比較検討し、将来の金利動向や返済計画を考慮した上で、最適な選択を行うことが重要です。

金利の影響

金利が不動産市場や経済全体に与える影響について掘り下げます。

低金利環境が不動産市場に与える影響は多岐にわたります。住宅ローン金利の低下が住宅購入を促進するだけでなく、不動産投資市場にも大きな影響を与えています。

住宅市場への影響

  1. 住宅購入の促進:低金利環境では住宅ローン金利が低くなるため、住宅購入が魅力的になります。これにより、初めての購入者や住宅の需要が増加し、市場が活性化します。
坂口
低金利環境は確かに住宅市場にポジティブな影響を与えます。低金利によって住宅購入が魅力的になり、初めての購入者や需要が急増することで市場も活性化します。これは営業活動においても追い風ですよね。
  1. 住宅価格の上昇: 需要が高まると、住宅価格も上昇する傾向があります。需要が供給を上回る場合、特に人気の高いエリアでは価格競争が激化し、物件の値上がりが加速します。
井口
需要が供給を上回り特に人気のエリアでは価格競争が激化し、物件の価格が上昇することがあります。これが購入者にとってはネックとなることもあります。このような場合、不動産営業はお客様が損をしないように注意深く売りポイントを見つけ、価格を最適化し、双方が満足できるWin-Winの状態を築くことを心がけています。

不動産投資市場への影響

  1. 資金調達の容易化: 低金利環境では不動産投資家が資金を比較的低コストで調達できるため、投資活動が増加します。これにより、新規プロジェクトや投資物件の取得が増え、市場が拡大します。
  2. 競争の激化:低金利によって資金が容易に得られることから、投資物件への関心が高まります。これに伴い、特に人気のあるエリアや魅力的な物件において競争が激化し、物件ごとの購入競争が発生することがあります。
  3. 価格の急騰:需要が高まり、投資家の競り合いが激化すると、物件の価格が急騰する可能性があります。これは市場全体の価格上昇に寄与し、一部のエリアでは異常な価格水準が観測されることもあります。

低金利環境下での不動産市場の活況は、投資家や購入者にとっては有利な状況ですが、同時に価格の急騰や競争が引き起こされる可能性もあるため、市場の変動に敏感に対応する必要があります。

民法、宅建業法に関する知識、新法令の把握

不動産取引は多くの法律によって規制されており、特に民法や宅建業法はこの分野で重要な役割を果たします。以下では、これらの法律と不動産取引との関係についてさらに詳細に解説します。

民法の要件と登記手続きの重要性

民法と不動産取引

不動産取引では、民法が契約の基本的なルールを示しています。特に物件の売買契約では、民法が定める契約が成立するための要件を理解することが大切です。ここでは、それをシンプルに解説します。

    • 当事者の合意:不動産取引においては、契約の成立には当事者間での合意が必要です。売り手と買い手が契約内容に同意し、納得して取引を進めることが不可欠です。
井口
不動産を取引する時には、売り手と買い手が契約内容に合意することが必要です。お互いが取引にOKと言うことが大事です。
    • 目的物の特定: 契約の成立には、取引の対象となる不動産(目的物)が具体的に特定されていることが求められます。取引においては、物件の住所や番地、詳細な説明などが明示的に記載されるべきです。
井口
取引対象の不動産(物件)はハッキリと特定されている必要があります。住所や詳細な説明が書かれているか、どの物件の話をしているのか分かるようにしましょう。
    • 適法な契約目的: 契約の目的は法に違反しないものである必要があります。法律に反する契約は無効となり、違法な目的を持つ契約は成立しません。合法性が確保された契約目的を明示することが重要です。
井口
契約の目的は、法律に違反していないことが大事です。法律に反する目的はだめですし、ルールを守って取引しましょうね。

これらの要件を遵守することで、民法の基本的な原則に基づいた円滑な不動産取引が実現できます。

契約の要件

民法における契約成立の条件として、合意、能力、内容、形式などがあります。

  • 合意:当事者間の明確で共通の同意が必要です。
  • 能力:契約を締結する当事者は法的に能力を持っている必要があります。
  • 内容: 契約内容が適法で明確である必要があります。
  • 形式:特定の契約には書面や公正証書が必要な場合があります。

特に不動産取引では、契約内容の明確化が重要です。たとえば、物件の価格、支払い条件、引き渡しの時期、契約違反時の取り決めなど、すべての重要事項が契約書に記載される必要があります。

権利の移転と登記

不動産の所有権移転では、民法に基づく手続きに加え、不動産登記が必要になります。所有権の移転は、契約による合意と登記によって正式になされます。また、担保権の設定や抹消にも登記が必要です。登記は、不動産の所有関係や担保権の状況を公示し、取引の安全を確保するために不可欠です。

宅建業法のポイント

不動産業に従事する上で知っておくべき宅建業法に関する重要なポイントを紹介します。営業免許の取得要件や消費者保護の観点から解説します。

この法律は、日本における不動産取引の公正な取引風土を構築し、消費者の権利を守ることを目的としています。「宅建業法のポイント」とは、この法律において特に重要な規定や要点を指す言葉です。以下に、宅建業法の主なポイントをいくつか挙げてみましょう。

営業免許の取得要件

不動産業者は、宅建業法に基づく営業免許を取得する必要があります。この免許を取得するためには、一定の条件を満たすことが求められます。業者の信頼性や適切な知識の保有が求められるため、業界の健全な発展と消費者保護を図る役割を果たしています。

消費者保護

宅建業法は、不当な取引行為や契約の不平等を防ぐために様々な規定を含んでいます。例えば、契約書の明示や説明義務、クーリング・オフ制度などがあります。これにより、消費者が不利益な取引に巻き込まれることを防ぎ、公正な取引が行われるようになっています。

契約の適正化

宅建業法は、不動産取引における契約の適正化を促進するための規定も含んでいます。契約書の内容や重要事項の明示、契約解除の条件などが含まれており、取引の透明性と信頼性を高める役割を果たしています。

不動産業者の資質向上

宅建業法は、不動産業者の資質向上を促進するための研修制度や教育の推進も規定しています。これにより、不動産業者が適切な知識やスキルを持って取引に携わることが期待されます。

以上が、宅建業法のポイントの一部です。この法律は、不動産取引の公正な運営と消費者保護を実現するために非常に重要な役割を果たしています。

まとめ

新人営業担当にとって取引の成功には、金利と法律の理解が欠かせません。

適切な金利の選択と法令順守により、お客様との信頼関係が築かれます。正確な知識と計画を基に、自信を持って不動産営業に取り組みましょう。

今後も私たちはブログやYouTubeを通して情報発信していきます。こうした場を利用して学びを深め、よりスムーズに取引ができるようになって頂ければと思います。

もし不安な点があれば、私たちにご相談ください。今回お伝えした事が、皆さんの営業の一助になれば幸いです!

当メディア「不動産営業の教科書」では、不動産営業の方々に役立つ情報をお伝えしていきますので、ぜひYouTubeチャンネルや、別の記事も参考にしてみてください。

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また、この度「不動産営業の教科書」が電子書籍になりました。ブログでは伝えきれない基本的な事や、不動産営業のプロとして知っておきたい事など、私が不動産営業を始めたばかりの時に知りたかった事を存分に載せています。

井口
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井口 忠二株式会社 アスパートナー 代表取締役
明治大学商学部卒業。グロービス経営大学院卒業。 三井不動産グループ会社で8年間不動産売買仲介営業に従事。東京23区でエリアトップセールスを2年連続受賞する。東京と福岡で勤務し、5年連続優秀営業社員賞受賞。 その後、株式会社アスパートナー設立。 公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、MBA(経営学修士)、相続対策専門士、AFPファイナンシャルプランナー、損保トータルプランナー