不動産売却のプロセス解説!売却依頼の受付時のポイント

この記事を書いた人
井口
不動産会社を経営。これまで自身でも取引総額100億円以上の売買仲介を成約させた経験から、新人営業担当向けに情報発信中
✔公認不動産コンサルティングマスター
✔MBA(経営学修士)
✔ファイナンシャルプランナー
✔パーソナルファイナンス教育インストラクター
✔剣道7段

こんにちは。「不動産営業の教科書」こと株式会社アスパートナ―の井口(@fukuoka_fudosan)です。

不動産を売却しようと考えている方にとって、売却依頼の手続きは非常に重要です。不動産営業担当は、お客様の情報を十分に集めないまま進めると、後に問題が発生したり、満足できない結果につながる可能性があります。そこでこの記事では、売却依頼を受ける際に必要な注意点を詳しく解説し、売主様のニーズと状況を正確に理解することで、円滑な売却プロセスを実現するための方法をお伝えします。

こんな人にオススメ
・不動産営業を始めたばかりの人
・毎月10件以上売買仲介を成約させたい人
・売上を伸ばして年収をアップさせたい人

【この記事は動画でも解説しています】

それでは解説していきます。

基本情報の確認

不動産売却の成功には、売主様からの基本情報を正確に把握することが欠かせません。以下は、売却依頼を受ける際に確認すべき基本情報の要点です。

確認すべき売主様の基本情報
  1. 氏名:当たり前ですが、不動産の所有者であることを確認するために必要です。運転免許証やパスポートなど、写真付きの身分証明書で本人確認を行いましょう。
  2. 連絡先:誤った連絡先情報が提供されると、後の手続きや情報共有が困難になる可能性があります。正確な連絡先を確認することで、円滑なコミュニケーションを確保します。
  3. 年齢:売主様の年齢を把握することで、売主様のニーズや要望を理解し、適切なサポートや提案を行うことができます。
  4. 家族構成:家族構成を把握することで、売主様のニーズや要望がより具体的に理解できます。例えば、家族のサイズや年代によって求める物件のタイプや条件が異なるため、この情報は売却提案の方向性を決定するのに役立ちます。
  5. 勤務先:売主様の勤務先を把握することで、売主様の経済的な状況や収入源を理解し、適切な提案を行うことができます。
  6. 年収:売主様の年収を把握することで、売主様がどの程度の価格で売却を希望しているか、またどの程度の負担が可能かなどを予測し、より現実的な提案が可能となります。

これらの情報は、不動産売却プロセスにおいて売主様のニーズに適切に応え、満足度の高い結果をもたらすために不可欠です。

売主様の勤務先と年収を確認することで、経済的な状況を把握し、適切な提案ができます。

売却理由の確認

売却の動機を理解することは重要です。なぜ売却を考えているのか、その背後にある理由を尋ねてみましょう。

以前、私のお客様で相続による売却を考えている売主様がいらっしゃいました。

相続による不動産の売却は特殊なケースが多いため、様々な課題を伴います。相続税での財政的な問題や共有名義の問題など、売主様が抱える課題に対して詳しくヒアリングを行い、司法書士からのお話もお伝えし相続手続きに関してもサポートを行いました。

売却についても相続手続きと同時進行で行い、相続手続きをサポートしていることもあって、引渡しまでスムーズに取引を終えることができました。

このように売却動機は、不動産取引において非常に重要です。売却動機は必ず確認するようにしましょう。

売却する物件の概要確認

売却する物件について詳細を確認しましょう。

物件の所在地、面積、間取り、築年数などの特徴をしっかり把握しておくことが大切です。

井口
ここでは、物件の特徴を正確に把握し、効果的な販売戦略を立てた結果、高い価格での売却に成功した自社で保有していた物件の事例をご紹介します

その物件は、築年数が古いアパートで、老朽化していたため、解体する必要がありました。

入居者には立ち退きをお願いし、退去後に解体して更地にして売却することにしました。

3筆に分筆して住宅用地として販売を開始しましたが、そのエリアは住宅地として人気の上昇が見込めるエリアで、土地の形状や接道状況も良好だったため、当時の相場より高値で価格設定していました。

時間はかかったものの、当初の想定通りそのエリアの人気が上昇したことにより高値で完売することができました。

住宅ローン残高の確認

住宅ローンに関する情報を収集しましょう。

住宅ローンを組んでいるかどうかを確認し、残債額を把握します。

井口
ここでは、住宅ローンの残債額を正確に把握し、売主様に有利な条件での売却を実現した実例をご紹介します

お客様からの依頼で、自宅を売却したいという相談がありました。

売却理由としては、出来るだけ早く現金が必要であるということでした。

まず売主様に直接金融機関に連絡をとっていただき、現在の住宅ローン残債額を正確に確認してもらいました。正確な数字が分からないと、適切な価格設定や売却条件の提案が難しいためです。

ローン残債額や売却諸費用(譲渡所得税含む)を考慮し、売主様に必要な現金を残すための売却金額を算定したところ、弊社で買取ができる金額であることが判明したため、弊社買取で速やかに成約することができました。

売却希望条件の確認

売主様の希望条件を詳しくヒアリングしましょう。売却希望条件を確認する際の重要なポイントは以下です。

売却希望条件の確認ポイント
  1. 希望価格
    売主様が望む売却価格とその根拠を詳しくヒアリングします。市場価格との比較、物件の特徴や条件、エリアの動向など、希望価格設定の背景を理解することが重要です。売主様の期待と市場価格のバランスをとることで、実現可能な価格設定に導きます。
  2. 引渡し時期と条件
    物件の引渡し時期や条件(例えば、家具の有無、修繕の必要性、入居までの期間など)を確認します。これらの条件は、売却プロセスや価格設定に影響を与えるため、売主様との合意に至るまで慎重に検討します。例えば、早急な引渡しを希望する売主様の場合、価格交渉に影響を与える可能性があります。

売却希望条件を正確に把握し、売主様のニーズに最も合った売却戦略を立てることで、スムーズな取引と売主様の満足度を高めることが可能となります。

まとめ

売却依頼の受付時には、基本情報、売却理由、物件概要、住宅ローン情報、売却条件など様々な要素を確認することが大切です。これらの情報を正確に把握することで、売主様のニーズに合った最適な提案ができるでしょう。

また、この度「不動産営業の教科書」が電子書籍になりました。ブログでは伝えきれない基本的な事や、不動産営業のプロとして知っておきたい事など、私が不動産営業を始めたばかりの時に知りたかった事を存分に載せています。

井口
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ABOUT US

井口 忠二株式会社 アスパートナー 代表取締役
明治大学商学部卒業。グロービス経営大学院卒業。 三井不動産グループ会社で8年間不動産売買仲介営業に従事。東京23区でエリアトップセールスを2年連続受賞する。東京と福岡で勤務し、5年連続優秀営業社員賞受賞。 その後、株式会社アスパートナー設立。 公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、MBA(経営学修士)、相続対策専門士、AFPファイナンシャルプランナー、損保トータルプランナー