不動産営業担当が知っておくべき業界に関する基礎知識 – 不動産市場の相場を徹底解説!-

この記事を書いた人
井口
不動産会社を経営。これまで自身でも取引総額100億円以上の売買仲介を成約させた経験から、新人営業担当向けに情報発信中
✔公認不動産コンサルティングマスター
✔MBA(経営学修士)
✔ファイナンシャルプランナー
✔パーソナルファイナンス教育インストラクター
✔剣道7段

こんにちは。「不動産営業の教科書」こと株式会社アスパートナ―の井口(@fukuoka_fudosan)です。

不動産市場の相場は、個々の物件の価値だけでなく、経済全体に影響を及ぼす重要な要素です。

そこで今回は、不動産市場の情報をどのように調べるべきか、また不動産市場の変化がどのように経済に影響するかについてお伝えしていきます

こんな人にオススメ
・不動産営業を始めたばかりの人
・不動産営業の基本的な業務について知りたい人
・不動産業界に興味がある人

【この記事は動画でも解説しています】

不動産市場の相場を理解しよう

まずは、不動産営業にとっては基礎の基礎、「不動産市場の相場」を理解する必要があります。

どのように相場情報を入手し、どのように活用していくべきかについてお伝えします。

相場情報の入手方法

私が相場情報を入手する際に使用するのは2つです。

相場情報の入手方法

①レインズ(不動産流通機構)で成約事例を調べる
②国土交通省地価公示や都道府県地価調査を調べる
(国土交通省の土地総合情報システムで検索可能)

具体的にどのように入手しているかをお伝えします。

① レインズ(不動産流通機構)で成約事例を調べる

レインズは、不動産取引の実績や成約事例などを提供しているデータベースです。レインズを活用することで、特定のエリアや物件の最新の取引価格や成約状況を把握することができます。

具体的な手順
  1. レインズにアクセスします。
  2. 対象となる地域や物件条件を指定します。たとえば、検索フォームから都道府県、市区町村、部屋の広さ、価格帯などを入力します。
  3. レインズの検索結果ページで、詳細な成約事例を閲覧します。各物件には取引価格や広さ、間取りなどの詳細が記載されています。
  4. 成約事例の中から興味がある物件を選び、取引の状況や条件を確認します。特に過去の成約価格や物件の魅力に焦点を当てると良いでしょう。

このように、検索結果や成約事例を通じて、市場の動向や相場の推移を把握する事ができます。

② 国土交通省地価公示や都道府県地価調査を調べる

国土交通省は、地価公示や都道府県地価調査など、「地総合情報システム」で不動産の相場情報を提供しています。

土地総合情報システム

地価公示は特定の地域の地価を公表しており、都道府県地価調査では各都道府県ごとの地価の傾向が掌握できます。このサイトにアクセスし、対象地域や期間を指定して必要な情報を取得します。

具体的な手順
  1. 国土交通省の土地総合情報システムにアクセスします。
  2. 土地総合情報システムのトップページから、「地価公示都道府県地価調査」をクリックします。
  3. 調査したい地域(都道府県や市区町村)を地図上で指定します。
  4. 地価の推移を知りたい期間を指定します。これにより、過去の地価の変動を把握できます。

上記の手順で入力した条件に基づいて、地価公示情報が表示されます。

井口
このほかにも、不動産ポータルサイトや不動産鑑定士の評価など、信頼性の高い情報源も活用してください。これらの手段を組み合わせることで、的確な相場把握が可能となります。

私の場合は、時間がある日は毎朝主要エリアの新着物件情報をポータルサイトで確認しています。

このように不動産営業をやる方は、定期的に情報収集を行い、主要エリア毎に現状どの程度の金額で販売されており、また成約しているかを把握しておくことが重要です。

相場情報の活用法

次に、得られた情報を実際の不動産取引にどう適用するかについて、具体的にお伝えします。

主に6つの活用方法があります。

相場情報6つの活用方法
  1. 価格交渉における利用
    • 物件の相場価格を知ることで、売り手や買い手としての価格交渉において有利な立場を確保できます。例えば、相場より高く設定されている物件の価格を下げる交渉や、相場より低く提示されている物件に迅速に反応するなどの戦略を立てられます。
  2. 投資判断の基礎として
    • 投資物件を選定する際、相場情報は収益性の評価に不可欠です。市場価格を基にして、賃貸収入や将来の価値上昇を予測し、投資のリターンを計算します。これにより、どの物件が投資に適しているかを判断できます。
  3. 市場動向の理解
    • 不動産市場は地域や経済状況によって異なる動きを見せます。相場情報を追跡することで、市場のトレンドや将来的な価値変動の兆しを理解し、より戦略的な取引が可能になります。
  4. 物件の価値評価
    • 相場情報を用いて物件の適正価格を評価できます。これにより、過大評価された物件を避け、価格に見合った質の良い物件を選択することができます。
  5. リスク管理
    • 相場情報を把握しておくことで、不動産市場の変動に伴うリスクを事前に評価し、適切なリスク管理戦略を立てることができます。
  6. 再販や再投資のタイミング判断
    • 物件の売却や新たな投資のタイミングを決定する際、相場情報は重要な指標となります。市場が上昇傾向にある場合は売却を、下降傾向にある場合は購入を検討するなど、市場の状況に応じた戦略を立てることができます。
これらのアプローチにより、相場情報を活用して、より賢明な不動産取引の決定を下すことができます。

物件情報の把握をしよう

物件情報の重要性

物件情報の正確な把握は、不動産の購入や投資において非常に重要です。以下は、物件情報を正確に把握することの重要性と、それによってどのようなミスを避けることができるかについてお伝えします。

相場情報7つの活用方法
  1. 適切な価格評価
    • 物件の基本情報(築年数、面積、立地など)を正確に把握することで、物件の適正価格を評価することができます。これにより、過剰に高価な物件の購入を避けたり、投資として魅力的な物件を見極めたりできます。
  2. 投資リターンの正確な予測
    • 投資物件の場合、賃貸収入や将来的な価値上昇の可能性を正確に予測するためには、詳細な物件情報が必要です。不正確な情報に基づくと、リターンが過大に見積もられるリスクがあります。
  3. 物件の状態と維持費の把握
    • 物件の現在の状態と必要な修繕の有無、さらに維持にかかる費用を把握することで、将来的な追加投資や維持費用を予測できます。
  4. 法的・規制上の問題の回避
    • 物件の法的な制約や建築基準法、地域の計画などを事前に調査することで、後に法的な問題や規制に直面するリスクを避けることができます。
  5. 市場動向の理解
    • 物件情報を広範に収集し、分析することで、不動産市場の動向を理解し、市場の変動に対応することができます。
  6. リスク管理
    • 物件のリスク要因(例:自然災害のリスクが高い地域、未解決の法的問題など)を事前に把握することで、未来のリスクを回避または軽減できます。
  7. 財務計画の精度向上
    • 物件情報の正確な把握は、購入後の財務計画の精度を高め、資金計画の失敗を防ぎます。

正確な物件情報の把握により、不動産取引における意思決定の質を高め、投資の成功確率を大きく向上させることができます。

物件情報の見方とポイント

物件情報を収集する際には、不動産ポータルサイトで検索する、不動産仲介業者へ確認するといった方法があります。

物件情報を収集する際には次のようなポイントを確認しましょう。

物件情報を収集する際のポイント

①物件の基本情報:住所、築年数、間取り、専有面積などの基本情報は最初に確認するべきです。

②価格と費用:購入価格だけでなく、管理費や修繕積立金などの月々の維持費用も確認しましょう。

③周辺環境:最寄りの駅やバス停、学校、病院、スーパーなど周辺の施設の有無を確認します。

④物件の状態:写真等で物件の内部や外部の状態を確認し、必要ならば実際に見学することを検討します。

⑤過去の取引履歴:同じ物件が過去にどのような取引が行われたかを調査し、価格の妥当性を検討します。

物件情報を読み解く際のポイントを解説します。間取り図や土地の特性など、注意すべき要素について具体的に紹介します。

物件情報の信頼性と注意点

物件情報の信頼性と注意点について詳しく解説します。インターネット上の情報や実際の物件の確認方法には、以下のような重要なポイントがあります。

物件情報の確認ポイント
  1. インターネット上の情報の信頼性
    • 不動産ポータルサイトやオンライン広告に掲載される情報は、常に最新かつ正確であるとは限りません。物件の情報が古い場合や誤った情報が含まれている可能性があるため、確認が必要です。
  2. 現地確認の重要性
    • オンラインでの情報収集に加え、物件の現地確認を行うことが重要です。現地での確認により、物件の状態や周辺環境を実際の目で見て評価することができます。
  3. 大家さんや管理会社とのコミュニケーション
    • 物件の所有者や管理会社に直接連絡を取り、物件の詳細や管理状況についての情報を得ることが重要です。特に、修繕履歴や将来の修繕計画など、直接聞かないと分からない情報があります。
  4. 物件の履歴と前の所有者の確認
    • 物件の過去の取引履歴や、以前の所有者がどのように物件を使用していたかを確認することで、物件の価値や潜在的な問題点を理解できます。
  5. 法的な問題や制約の確認
    • 物件に関する法的な問題や制約(例:抵当権、利用制限など)がないかを確認する必要があります。これには、法的な専門知識が必要な場合があります。
  6. 不動産エージェントの選定
    • 経験豊富で信頼性の高い不動産エージェントを選定することも重要です。彼らは市場の専門知識を持っており、信頼できる情報の提供や適切なアドバイスを行うことができます。

これらのポイントに注意を払うことで、物件情報の信頼性を確保し、不動産取引におけるリスクを最小限に抑えることができます。物件情報を正確に把握することは、成功した不動産取引のための鍵となります。

不動産取引に関する知識を身につけよう

売買契約の基本流れ

不動産取引の売買契約プロセスについて段階ごとに簡単に流れを説明する。また、契約書の内容や注意すべき事項を解説します。

決済のステップと注意点

取引の最終段階である決済プロセスについて詳しく説明し、必要な手続きや諸費用についての情報を提供します。

専門家のサポートの重要性

不動産取引において弁護士や不動産エージェントのサポートなど、専門家の活用方法を示します。

まとめ

今回は、不動産市場の相場を理解し、物件情報を把握し、不動産取引に関する知識を身につける事の重要性についてお伝えしました。

不動産市場において成功するためには相場の理解と物件情報の把握が不可欠です。相場情報はレインズや国土交通省地価公示を利用して入手可能であり、これにより市場の動向や価格の傾向を把握できるようにしておいてください。

今回お伝えした事が、皆さんの営業の一助になれば幸いです!もし不安な点があれば、私たちにご相談ください。

また当メディア「不動産営業の教科書」では、不動産営業の方々に役立つ情報をお伝えしていきますので、ぜひYouTubeチャンネルや、別の記事も参考にしてみてください。

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井口
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井口 忠二株式会社 アスパートナー 代表取締役
明治大学商学部卒業。グロービス経営大学院卒業。 三井不動産グループ会社で8年間不動産売買仲介営業に従事。東京23区でエリアトップセールスを2年連続受賞する。東京と福岡で勤務し、5年連続優秀営業社員賞受賞。 その後、株式会社アスパートナー設立。 公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、MBA(経営学修士)、相続対策専門士、AFPファイナンシャルプランナー、損保トータルプランナー