社内や顧客とのコミュニケーションを円滑化する「ソーシャルスタイル理論」の活用

この記事を書いた人
井口
不動産会社を経営。これまで自身でも取引総額100億円以上の売買仲介を成約させた経験から、新人営業担当向けに情報発信中
✔公認不動産コンサルティングマスター
✔MBA(経営学修士)
✔ファイナンシャルプランナー
✔パーソナルファイナンス教育インストラクター
✔剣道7段

こんにちは。「不動産営業の教科書」こと株式会社アスパートナ―の井口(@fukuoka_fudosan)です。

近年、ビジネスの成功において、コミュニケーションの重要性はますます高まっています。特に、社内での円滑な連携や顧客との信頼関係構築において、相手のニーズやスタイルを正しく理解することは不可欠です。

この記事では、「ソーシャルスタイル理論」というツールを用いて、社内や顧客とのコミュニケーションをより効果的に進める方法を探求してみましょう。異なるコミュニケーションスタイルに適切に対応することで、より良いビジネス関係を築くためのヒントをご紹介します。

こんな人にオススメ
・不動産営業を始めたばかりの人
・毎月10件以上売買仲介を成約させたい人
・売上を伸ばして年収をアップさせたい人
・お客様と良好な人間関係を築きたい人
・社内のプロジェクトを上手く回したい人

【この記事は動画でも解説しています】

ソーシャルスタイル理論の基本

ソーシャル理論とは?

ソーシャルスタイル理論は、1968年に産業心理学者のディビット・メリルとロジャー・リードによって提唱された、人間関係におけるコミュニケーションスタイルを分類し、理解するための理論です。

人々がどのように行動し、コミュニケーションをとるのかを4つのタイプに分類することで、それぞれの特性や相互関係を理解し、より円滑なコミュニケーションを実現することを目的としています。

4つの基本タイプ

ソーシャルスタイル理論は、人々のコミュニケーションスタイルを「ドライバー」「アナリティカル」「エミアブル」「ドライバー」の4つの基本タイプに分類します。それぞれの特徴や傾向を理解することで、相手のコミュニケーションをより深く読み取ることができます。

タイプ 特徴 コミュニケーションスタイル 強み 弱み
ドライバー 結果重視で、迅速な行動を好む 率直で簡潔、指示的 決断力があり、実行力が高い 押し付けがましく、協調性に欠ける
アナリティカル 分析力が高く、論理的に考える 客観的で冷静、詳細な説明を好む 正確で的確な情報提供を行う 融通が利かず、冷たい印象を与える
エミアブル 協調性があり、周囲との調和を重視する 親しみやすく、共感力がある 聞き上手で、チームワークを重視する 優柔不断で、自分の意見を主張するのが苦手
エクスプレスィブ 感受性が豊かで、表現力豊か 熱意があり、積極的に意見を主張する 柔軟で創造性がある 感情的で気分屋

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社内コミュニケーションへの活用

チームメンバーの理解と協力

チーム内のメンバーが異なるソーシャルスタイルを持っている場合、相互理解が深まることで協力関係が円滑化します。

井口
ここでは、チームメンバー各自のソーシャルスタイルを理解し、それに基づいて適切な役割分担を行った結果、プロジェクトの効率が大幅に向上し、チームワークが改善された事例をお伝えします

まず大切なのは、各メンバーの強みを理解し、適切な役割分担をすることです。

各メンバーのソーシャルスタイルを分析し、その強みを生かした役割分担を行いました。

ある大規模な不動産開発プロジェクトでは、チームにドライバータイプのリーダーを配置しました。彼の決断力と行動力により、プロジェクトの進行スピードが飛躍的に向上しました。同時に、エミアブルなメンバーが顧客との関係構築に注力し、信頼関係を築くことで、契約率が向上しました。

アナリティカルなメンバーは市場分析とリスク評価に従事し、不動産市場の動向を的確に把握しました。さらに、エクスプレッシブなメンバーがプロモーション活動を行い、プロジェクトの知名度を高めました。

この役割分担により、各メンバーが得意な分野で力を発揮し、チーム全体の効率が向上しました。結果として、プロジェクトの進行スピードが加速し、収益性が向上しました。

コミュニケーションスタイルの適切な選択方法

特定の状況や目的に応じて、適切なコミュニケーションスタイルを選択することは、チームの効率性や成果に大きな影響を与えます。具体的な状況や目的に応じたコミュニケーションスタイルの選択方法をいくつか示します。

コミュニケーションスタイルの選択方法
  1. プロジェクトの緊急性が高い場合(例:緊急のクライアント要求)
    • ドライバーのアプローチ: ドライバータイプのメンバーが率先して行動し、迅速な対応を行います。プロジェクトの優先順位を明確にし、タイムリーな意思決定を行います。
  2. 複雑な問題解決が必要な場合(例:新しい製品の開発)
    • アナリティカルのアプローチ: アナリティカルなメンバーがデータを収集し、分析を行い、客観的な判断を下します。問題の要因を理解し、詳細な計画を立てることで、効果的な解決策を見出します。
  3. チームメンバーのモチベーション向上が必要な場合(例:長期的なプロジェクト)
    • エミアブルのアプローチ: エミアブルなメンバーがチームの雰囲気を和やかに保ち、メンバー間の関係を築きます。相互の信頼関係を高め、チーム全体のモチベーションを向上させるために、フィードバックや称賛を積極的に行います。
  4. 創造性を重視する場合(例:新しいマーケティングキャンペーンの立案)
    • エクスプレッシブのアプローチ: エクスプレッシブなメンバーがアイデアを発信し、情熱を持って議論をリードします。自由な雰囲気の中で、創造性を刺激し、新しいアプローチや視点を導入します。

これらの例からわかるように、特定の状況や目的に応じて、適切なコミュニケーションスタイルを選択することで、チームの成果や効率性を最大化することができます。

顧客とのコミュニケーションへの活用

ニーズの理解と提案のカスタマイズ

顧客とのコミュニケーションにおいて、ソーシャルスタイル理論を活用するために、まずはお客様の行動パターンやコミュニケーションの好みを把握することが重要です。

行動パターンとコミュニケーションスタイル
  1. ドライバーの顧客
    • 行動パターン: 迅速な意思決定を好み、合理的な判断を重視します。時間を大切にし、効率的な取引を求める傾向があります。
    • コミュニケーションの好み: 簡潔かつ具体的な情報を求める場合が多く、直接的な対応を好みます。時間を節約するため、迅速な提案や解決策を期待します。
  2. アナリティカルな顧客
    • 行動パターン: 冷静で客観的な判断を好み、リスクを最小限に抑えたいと考えます。慎重かつ詳細な情報収集を行い、データや事実に基づいて意思決定します。
    • コミュニケーションの好み: 詳細な情報やデータを重視し、論理的な説明を求める傾向があります。納得するまで議論を続けることがありますので、忍耐強く対応する必要があります。
  3. エミアブルな顧客
    • 行動パターン: 協調性が高く、信頼関係を重視します。人間関係を築くことや相手の感情に配慮することが重要で、良好な関係性を築くことを望みます。
    • コミュニケーションの好み: 共感や理解を示すことが重要であり、親しみやすく柔軟な対応が求められます。感情的な面や人間関係の構築を重視するため、会話の中で親密さを築く努力が必要です。
  4. エクスプレッシブな顧客
    • 行動パターン: 感情的で熱意を持ち、自己表現が豊かです。新しいアイデアや創造性を重視し、楽しみながら取引を進めたいと考えます。
    • コミュニケーションの好み: 感情や情熱に共感し、自由な意見交換やアイデアの共有を求めます。柔軟な対応と創造的なアプローチが求められます。

こうしたお客様との間で、ソーシャルスタイル理論に基づいたコミュニケーションを行うことで、顧客のニーズを的確に把握し、提案をカスタマイズすることが可能となります。

ソーシャルスタイル理論を活かした顧客サービスの改善方法

ソーシャルスタイル理論を活かして、顧客満足度を向上させるためには、以下のようなアプローチをお薦めします。。

顧客満足度を向上させるためのアプローチ
ドライバーの顧客に対するアプローチ:

迅速な対応と具体的な情報提供が重要です。不動産物件の特徴や価格などの詳細を素早く提示し、迅速な手続きを行います。
価値を示すことが重要なので、投資価値や将来性などに焦点を当てた提案を行います。

アナリティカルな顧客に対するアプローチ:

詳細な情報提供と論理的な説明が求められます。不動産のデータや過去の取引履歴、市場動向などを的確に提示し、合理的な判断材料を提供します。
リスク管理や投資収益の見込みについても具体的な分析を行い、安心感を提供します。

エミアブルな顧客に対するアプローチ:

共感や理解を示すことが重要です。顧客の関心や要望に対して丁寧に対応し、信頼関係を築く努力を行います。
不動産物件の魅力や生活における利点を強調し、顧客との親密な関係を構築します。

エクスプレッシブな顧客に対するアプローチ:

感情的な共感と創造的なアプローチが求められます。不動産物件の魅力やライフスタイルへの適合性を強調し、想像力に訴えるような提案を行います。
物件の魅力をアピールするために、ビジュアルな資料や現地見学など、体験型の情報提供を重視します。

以上のように、顧客のソーシャルスタイルに合わせたアプローチを取り入れることで、顧客との信頼関係を築き、ニーズに合ったサービス提供を行うことができます。その結果、顧客満足度の向上を図ることができます。

まとめ

ソーシャルスタイル理論を活用することで、社内のコミュニケーションを円滑化し、顧客との信頼関係を構築することが可能です。相手のコミュニケーションスタイルを尊重し、適切なアプローチを取ることで、ビジネスの成功に一歩近づくでしょう。

今回お伝えした事が、皆さんの営業の一助になれば幸いです!もし不安な点があれば、私たちにご相談ください。

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ABOUT US

井口 忠二株式会社 アスパートナー 代表取締役
明治大学商学部卒業。グロービス経営大学院卒業。 三井不動産グループ会社で8年間不動産売買仲介営業に従事。東京23区でエリアトップセールスを2年連続受賞する。東京と福岡で勤務し、5年連続優秀営業社員賞受賞。 その後、株式会社アスパートナー設立。 公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、MBA(経営学修士)、相続対策専門士、AFPファイナンシャルプランナー、損保トータルプランナー