住宅ローンを組みたいお客様の資金計画の立て方

この記事を読むと、住宅ローンを組むときの資金計画の立て方とお客様にヒアリングすべきことが分かります。

この記事を書いた人
井口
不動産会社を経営。これまで自身でも取引総額100億円以上の売買仲介を成約させた経験から、新人営業担当向けに情報発信中
✔公認不動産コンサルティングマスター
✔MBA(経営学修士)
✔ファイナンシャルプランナー
✔パーソナルファイナンス教育インストラクター
✔剣道7段

こんにちは。不動産営業の教科書こと井口(@FudosanKyokasho)です。

不動産営業をやっていて、皆さんの頭を悩ませることの一つが、住宅ローンの資金計画ですよね。

・お客様に十分な自己資金はあるか
・既にローンはあるか
・親からの援助はあるか

など、色々とヒアリングして明確にしてく必要があります。

そこで今回は、お客様に安心してローンを組んでいただくために「住宅ローンを組みたいお客様の資金計画の立て方」についてお伝えしていきます。

こんな人にオススメ
・不動産営業を始めたばかり
・これから住宅ローンの資金計画を立てる立場にある
・住宅ローンを組む際に何をヒアリングすべきか知りたい

住宅ローンは重要なポイントですので、しっかりと押さえていきたいと思います。

【この記事は動画でも紹介しています】

資金計画の立て方

不動産営業担当は、お客様が安心してマイホームを購入できるように資金計画を立てることが重要です。

そしてローンを組む場合、月々の返済額を適切に設定するために、無理のない範囲で計画を立てる必要があります。

また、親子間での資金の援助を受けたり住宅ローン控除を活用したりする事もあるため、税制面についても理解しておくことも重要です。

頭金の有無とローンの組み方

マイホームを購入する場合、毎月の返済額や借入期間を踏まえて、資金計画を立てる必要があります。

その時に注意すべき点は、頭金を出す意向とそもそも自己資金があるかどうかをヒアリングすることです。

頭金を出さない、あるいは自己資金があまり無い場合は、物件価格とその他の諸費用も含めてローンに組み込む必要があります。

また、時折親子間での資金援助(贈与)を受けるケースもありますので、贈与額を確認することも重要です。

贈与税の対策
親や祖父母といった直系尊属から、住宅の購入や増改築のためのお金を受け取っても、一定額までは贈与税が掛からない非課税枠があります。
・一般的な非課税枠 = 500万円
・住宅性能評価が高い場合の非課税枠 = 1000万円
贈与税の詳細については、個人の資産状況や税制の変更などにより異なるため、専門家のアドバイスを受けることが望ましいです。

このように頭金の有無や自己資金額、親からの資金援助などによって、借入額と月々の返済額の概算を算出することができます。

月々の返済はいくらまでが許容か?

私が基準にする返済額は、現在賃貸物件に毎月支払っている家賃です。

もし現在の家賃が10万円であれば、マイホームローンを組んだときにも毎月10万円くらい返済できます。

井口
支払額が急に増えてしまうと、返済が難しくなると不安に感じることもあるでしょう。

そのため、現在の家賃の支払い額に近い金額でローンを組んだ場合に、どのくらいの借入額になるのかをお伝えしています。

これにより、お客様のイメージを具体化し、返済に対する不安を軽減するお手伝いをしています。なお、マンションを持つ場合には、

・管理費や修繕積立金
・駐車場代
・固定資産税

などが毎年かかります。

つまり、ローンだけではなく諸々の費用を含めて、現在の家賃程度の返済額になるように資金計画を立てる必要があります。

これにより、将来的なライフプランもご提案できるようになるでしょう。

住宅ローン控除の活用

借り入れた際には、住宅ローン控除が受けられます。

井口
住宅ローン控除は、一定の期間(例えば10年または場合によっては13年など)にわたって適用されますが、この控除は一時的な措置と考えていただくのが良いでしょう。

実際、不動産を購入した場合、多くの方が35年ローンなど、長期間にわたって返済を行うことが一般的です。

しかし、借り入れから10年や13年経つと控除が終了するため、毎年の負担額が増えることになります。したがって、事前にお客様と協議し、将来的にその負担額を支払っていくことが可能かどうかを確認する必要があります。

井口
つまり、住宅ローン控除は一時的なメリットであることを理解し、将来の返済負担を見越して計画を立てることが重要です。

住宅ローンは2本組めるのか?

住宅ローンは基本的には1本の契約ですが、現在のマイホームを売却し、次の不動産を購入する場合は特別なケースとして2本の住宅ローンを組めることがあります。

ただし、今の自宅の売却が条件であり、次の不動産に対して住宅ローンを組むことが許可される場合です。

このようなケースでは、事前に金融機関との相談をしっかりと行い、条件や手続きについて詳細に確認することが重要です。

諸費用の見積もり

購入時にはさまざまな諸費用が発生しますが、これらの費用についても銀行などからの借入が可能です。例えば、物件価格の7%から8%程度と言われる諸費用が別途必要とされます。

諸費用には以下のようなものが含まれます。

諸費用の例
  • 不動産売買契約に貼る契約書の印紙代
  • 司法書士に支払う所有権移転登記費用
  • 売買の仲介手数料(物件価格の3% + 6万円)に消費税
  • 火災保険料、固定資産税の精算金、管理費の精算金
  • 銀行の事務手数料や保証料など

これらの費用を合計すると、一般的に物件価格の7%から8%程度と言われています。ただし、書籍によっては約1割と記載されている場合もあります。

お客様にはどれくらいの諸費用がかかるのかを明確に伝えることが重要です。具体的な金額については、頭金でご用意されるのか、それとも借入を希望されるのかを確認し、資金計画を立てる際に考慮する必要があります。

井口
諸費用は個々の契約や状況によって異なりますので、具体的な金額や詳細については金融機関や税理士と相談することが重要です。お客様の状況に合わせて適切なアドバイスを受けながら、資金計画を進めましょう。

事前審査

不動産仲介の担当者は、購入を始める段階からローンの事前審査を行うことが多いです。

お客様からは、例えば「4000万円ぐらいのマンションを購入したいけど、本当に借り入れができるのか心配です」という声もよく聞かれます。

そのため、まずお客様には気に入った物件で一つ事前審査を受けてみてもらい、審査が通れば今後の物件探しにおいて、その金額ぐらいならローンが通る可能性が高いとお伝えできます。

一般的に金融機関は年収の6倍や7倍の貸付を行うことがあります。

例えば、年収が400万円なら、貸付額は2700万円から2800万円程度が目安となります。ただし、絶対に3000万円にはならないかと言われると、実際の審査によって判断されるため、審査してみなければ分かりません。

井口
たくさんの物件を見てもらったとしても、借り入れができないという結果になると、お客様も残念な思いをされるだけでなく、仲介不動産の営業担当者も時間的なロスを被ってしまいます。

事前審査は無償で行われるため、金融機関と事前に情報を共有し、必要に応じて事前審査を受けておくことが非常に重要です。これにより、借り入れの可否を把握し、有益な物件の選定やスムーズな手続きが進められるでしょう。

お客様が他の借り入れ(ローン)をしているかどうかも事前に確認する必要があります。

坂口
私自身も過去に事前審査を行った際に、「あ、そういえば他にも借り入れがある」とおっしゃる方がいらっしゃったことがありますので、他の借り入れの有無も必ず確認しておくべきです。

車のオートローンや一時的なキャッシングによるクレジットカードの借り入れなど、他の借り入れがあるケースも結構あります。

また、離婚されていて慰謝料の支払いが月々の支出に含まれている場合、金融機関がそれをローンの返済負担率に算入してしまい、ローンの審査が否決されることもあります。

まとめ

この記事では、住宅ローンを組みたい方々に対して、どのような資金計画を立てれば良いかについてお伝えしました。住宅購入にはさまざまな費用や要素があり、慎重な計画が求められます。

お客様の状況を踏まえて、安心して住宅ローンを利用できるように提案しましょう。

今後も私たちはブログやYouTubeを通して情報発信していきます。こうした場を利用して学びを深め、よりスムーズに取引ができるようになって頂ければと思います。

もし不安な点があれば、私たちにご相談ください。今回お伝えした事が、皆さんの営業の一助になれば幸いです!

当メディア「不動産営業の教科書」では、不動産営業の方々に役立つ情報をお伝えしていきますので、ぜひYouTubeチャンネルや、別の記事も参考にしてみてください。

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ABOUT US

井口 忠二株式会社 アスパートナー 代表取締役
明治大学商学部卒業。グロービス経営大学院卒業。 三井不動産グループ会社で8年間不動産売買仲介営業に従事。東京23区でエリアトップセールスを2年連続受賞する。東京と福岡で勤務し、5年連続優秀営業社員賞受賞。 その後、株式会社アスパートナー設立。 公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、MBA(経営学修士)、相続対策専門士、AFPファイナンシャルプランナー、損保トータルプランナー