不動産営業必見!現地案内からクロージングまでの流れとポイント

この記事を読むと、現地案内からクロージングまでのポイントが分かります。

この記事を書いた人
井口
不動産会社を経営。これまで自身でも取引総額100億円以上の売買仲介を成約させた経験から、新人営業担当向けに情報発信中
✔公認不動産コンサルティングマスター
✔MBA(経営学修士)
✔ファイナンシャルプランナー
✔パーソナルファイナンス教育インストラクター

こんにちは。不動産営業の教科書こと井口(@fukuoka_fudosan)です。

皆さん、不動産を紹介するときに、

・いきなり物件紹介して大丈夫かな
・この場所行ったことがないから不安だな
・クロージングまで上手く繋げれるだろうか

と、不安になることはないですか?

こんな人にオススメ
・どういう物件を紹介すればよいか分からない
・どうい物件を選定していけばよいか分からない
・物件が複数ある場合にどれをクロージングすればよいか分からない

そこで今回は、安心して成約に繋げるために「現地案内からクロージングまでに注意すべきポイント」についてお伝えしていきます。

【この内容は動画でも解説しています。

お客様のニーズを確認する

初回接客でお客様から事細かく聞き取ることが、不動産営業担当として最も重要なポイントです。

基本的に、お客様自身が最初の段階で自分のニーズをすべて洗い出せているケースは稀です。

例えばお客様が「この辺りのエリアで、だいたい3LDKぐらいの広さで良い物件ありませんか?」と聞いてきた場合、いくつか物件を提案すると、当然「見に行きたい」と言ってくれます。

しかし、十分にヒアリングができていないと、後々になって問題が発生する事もあります。

ヒアリングすべきポイントは次のようなことです。

ヒアリングすべきポイント
・セキュリティ
・専用庭の要否
・バルコニーの方角
・ペットの有無
・アドバイザーの有無
・車のサイズ
など

これらについて簡単にご紹介していきます。

セキュリティ

お客様がセキュリティ上の理由から2階以上の物件を希望される場合、1階の物件ばかりを紹介しても、お客様は気に入ってくださらないと思います。

専用庭の要否

お客様が専用の庭を希望され、植物を育てたいという願望もあるかもしれません。
そのようなニーズがある場合、先にお客様に聞いておくことで、より適切な物件を提案できます。

バルコニーの方角


あらかじめ希望があれば、西向きや東向きなど、お客様の好みに合わせた物件を選択することができます。

ペットの有無

これも必ず確認しましょう。

過去にあった事例としては、クロージングの段になって「実はペットを飼っている」と言われたりすることもあり、その家がペットNGだったため再提案することになりました。

「そんなの最初から言ってよ」と思う事もありましたが、そこはやはり営業担当として、最初のヒアリングの段階で確認しておくべきことでした。

アドバイザーの有無

ちょっと変わった例ですが、風水の方向性(知り合いの風水師に○○の方角が良いと言われた)などで物件を探したいと言うお客様もいます。

最初から余計な物件を選出しないためにもヒアリングの段階で「アドバイザーの方いらっしゃいますか?」と聞くようにしましょう。

車のサイズ

駐車場マンションなどでは、機械式の駐車場が多く、サイズが合わないこともあるので、事前にサイズを確認することも大切です。

ヒアリングのポイントまとめ

このようにお客様の希望や嗜好について事前に確認することで、無駄な物件案内を減らし、営業担当/お客様双方にとって無駄な手間を省くことができます。

以前の私は、このような確認を怠って、お客様にとって望ましくない物件を案内してしまうことがありましたが、今はそのようなミスを減らすために、十分な時間を使ってお客様にヒアリングをしています。

紹介できる物件を複数用意しておく

物件の探し方は色々あると思います。

物件の探し方

例えば以下のような物件の探し方があります。

・広い範囲から物件を探して、そこから徐々に絞り込む方法。ただし、お客様が満足できる物件に巡り会える確率は低い。

・できるだけ近いエリアで探し、その中からお客様におすすめできる物件を絞り込む方法。お客様自身も、中心地が高額だと周辺地域を探すこともあり、時には「ここでなければ嫌だ」という地域があることもある。

他にも色々やり方はあると思いますが、大事なのはお客様の希望スタンスを把握することです。

井口
私がやっているのは、いくつかの候補物件を絞り込み、2〜3件の物件を同じ日に見ていただくやり方です。これによって、お客様にとって最適な物件を見つけることができます。

複数の候補を出す事の重要性

皆さんも既に実践されていると思いますが、私は複数の候補物件を用意することが重要だと考えています。

なぜなら、お客様自身が気に入る物件は、現地を訪れて初めて分かるものだからです。

・間取りはよさそうだけど実際に現地を見たら全然違う
・写真は綺麗に撮られているけれど、実際に行ってみたら思っていたよりも暗い

ということもあるでしょう。

井口
また、私たち自身も下見をしていたら当然気付くことができますが、全ての物件を下見する事は不可能です。そういった場合、初めて現地を見たらリフォームが必要だったと分かる事もあります。

このように、お客様も私たちも直接行った時には初めて分かるという事がいくつもあります。

ですから、複数の候補物件を用意して、同じ日にまとめて現地を見ていただくことが大切です。

資料の送付段階ではたくさん紹介する

複数の候補を出す事が大切だと言いましたが、2~3件が妥当なのでしょうか?

結論から言うとYESです。多くても3件に絞りましょう。ただ、資料を送付する段階では、たくさんの物件を紹介しても良いです。

実際に案内する段階になると、前述のとおり、

・低層階は嫌だ
・カウンターキッチンが良い

といった希望が出てくることもあります。したがって、案内の直前に「高層階(〇階以上)が良いですか?」「独立系キッチンですが本当に見ますか?」などと改めてヒアリングして候補物件を精査していきましょう。

井口
仮に10件~20件の物件を見たとしても、逆にお客様が迷ってしまうことがあります。特に意思決定が遅いお客様は、「買い逃し」と言って、他のお客様に先に決められてしまうこともあるため、注意が必要です。

このように案内する際にも、改めて希望を伺うと、「やっぱりこの人分かってるわ」と私たち営業担当もお客様に良く思われ、成約率も高まりますし、営業サイドからしても、より効率的な案内ができるようになります。

現地案内の段取りを決める

物件を見学するための現地案内を行う場合は、事前にスケジュールや交通手段などを確認しておく必要があります。

また、初めて来店頂くお客様に対して、物件が決まっていなくても先に案内日程を押さえておくことが重要です。

井口
物件が決まっていなくても日程を決めるコツは、ヒアリング時にお客様の要件をすべて聞きだして「それまで私が色々な物件の条件を調べます」と伝える事です

実際に物件を見学する際は、車で案内することが多いと思われますが、実は現地で待ち合わせして周辺を歩いてみるのもおすすめです。

もし時間がある場合には、一緒に街を歩きながら生活環境について説明することも大切です。

私の場合は、地図を使って、ご案内した物件からスーパーやドラッグストア、公園や病院がどのぐらいの距離にあるかなどを説明しています。

井口
お客様によっては、「夜だと道が暗すぎて嫌だ」と言って断ってくる方もいますが、自分の生活をイメージしてもらうためには非常に大事な情報提供だと思います。

このように、自分が住んだ時の生活圏をイメージしてもらうことが重要で、そのためにも資料を提供して、ゆっくり昼間や夜間に物件を見てもらいましょう。

クロージングの準備をする

物件に対する評価の確認

物件を見た後は、どのような感想を持っていらっしゃるのかをお客様、聞いていただくことをおすすめします。

・なぜお客様がその物件に決めなかったのか
・不満な点や気になる点はないか

など、理由やニーズを把握して、次の物件選びに活かしましょう。

そうすれば、次回案内する際に「前回お客様があまり好まなかった点を踏まえ、今回はこの物件をお勧めしたい」という風に説明ができ、お客様も納得しやすくなります。

したがって、物件毎にお客様の評価を確認することを強くお勧めします。

優先順位の最終確認

お客様が「物件を選ぶ上で、1つだけ気になる点がある」と言う事はよくあります。


例えば、洗濯機がドラム式で、そのサイズが入らない物件があったりすることもあります。

全ての要件が完璧に合致する物件は、基本的に存在しないと思います。

そのため、いくつかの物件を見て、お客様にアドバイスしながら条件に合った物件を選ぶことが大切です。例えば、冷蔵庫を買い替えるか、あと数件を見てみるかといった線引きが必要です。

また、意思決定する上で優先順位付けが必要です。お客様に対して、どの要件が一番重要かを聞きながら、対策案を提案する必要があります。その上で、「今回はそれはかなわないけど、こういう対策で納得できますか?」といった具体的な話をしていくことが大切です。

決断を促す

不動産業界では、良い物件ほど早く売れていくのはどこも同じです。

そのため、物件が気に入った場合は早めに申し込むことをお薦めしています。

ただし、あまり焦らせすぎるとお客様も引いてしまいます。

したがって「良い物件ほど売れていく」という現実を改めて説明しつつ、

・本当にこの物件が気に入ったのか買うのか
・それとも他の物件も検討した方がいいのか

を素早く判断してもらう事が必要です。この時、営業担当の方もお客様と一緒に考えるというスタンスでコミュニケーションを心掛けてください。

そうは言っても、お客様は情報が不足してるから決断できないということが往々にしてあります。

お客様の悩みは、月々の支払いが不安なのか、物件的に自分の納得感が得られないのかの大きく2つに分かれます。

例えば支払いに関する話であれば、物件の価格帯をもう少し下げた方がいいのか、もしくは築年数や広さに妥協する必要があるのか、といった話になることがあります。

価格帯を下げるという提案をした場合は、それに伴う築年数や広さの変更についても説明することで、お客様が納得して決断できるようになるかもしれません。

このように、お客様の支払いに関する不安や物件に対する疑問を解消することで、お客様が決断しやすいように促すことが、クロージングの秘訣です。

まとめ

今回は「現地案内からクロージングまでに注意すべきポイント」というテーマでお伝えしてきました。

①お客様のニーズを確認する
②紹介できる物件を複数用意しておく
③現地案内の段取りを決める
④クロージングの準備をする

という4つのステップを踏むことで、お客様に満足していただける不動産営業を行うことができまし、何より成約率を向上させることができます。

繰り返しとなりますが、お客様が抱えるニーズをしっかりとヒアリングし、適切な物件を複数用意して紹介することで、お客様は自分に合った物件を選びやすくなります。

そして、現地案内では、お客様が納得できるようなアドバイスを提供し、クロージングに向けた準備も忘れずに行いましょう。

もし不安な点があれば、私たちにご相談ください。今回お伝えした事が、皆さんの営業の一助になれば幸いです!

当メディア「不動産営業の教科書」では、不動産営業の方々に役立つ情報をお伝えしていきますので、ぜひYouTubeチャンネルや、別の記事も参考にしてみてください。

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ABOUT US

井口 忠二株式会社 アスパートナー 代表取締役
明治大学商学部卒業。グロービス経営大学院卒業。 三井不動産グループ会社で8年間不動産売買仲介営業に従事。東京23区でエリアトップセールスを2年連続受賞する。東京と福岡で勤務し、5年連続優秀営業社員賞受賞。 その後、株式会社アスパートナー設立。 公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、MBA(経営学修士)、相続対策専門士、AFPファイナンシャルプランナー、損保トータルプランナー