不動産営業で顧客のニーズを引き出す5つのポイント

この記事を書いた人
井口
不動産会社を経営。これまで自身でも取引総額100億円以上の売買仲介を成約させた経験から、新人営業担当向けに情報発信中
✔公認不動産コンサルティングマスター
✔MBA(経営学修士)
✔ファイナンシャルプランナー
✔パーソナルファイナンス教育インストラクター
✔剣道7段

こんにちは。「不動産営業の教科書」こと株式会社アスパートナ―の井口(@fukuoka_fudosan)です。

不動産営業において、お客様の本当のニーズを見極めることは、成功への鍵となります。顧客の要望や優先事項を正しく把握し、それに合った提案を行うことが、長期的な信頼関係の築き方です。この記事では、「不動産営業で顧客のニーズを引き出す5つのポイント」を紹介します。顧客との対話を通じて、より効果的な営業戦略を展開するための方法をご案内いたします。

こんな人にオススメ
・不動産営業を始めたばかりの人
・毎月10件以上売買仲介を成約させたい人
・売上を伸ばして年収をアップさせたい人

【この記事は動画でも解説しています】

不動産営業において、顧客のニーズを正確に把握することは成果を上げるために欠かせません。以下では、そのポイントを解説します。

答えやすい質問から始める

初対面での質問の重要性

最初の質問はお客様とのコミュニケーションの第一歩です。答えやすい質問を選び、リラックスした雰囲気を作りましょう。

初対面では、いきなり堅苦しいビジネス的な話題を振るのではなく、自己紹介など軽い会話からスタートしましょう。共通の話題を探し会話を膨らませることで思いがけないニーズにたどり着いたり信頼を得ることに繋がります。

私の場合は、お客様との初対面で私が剣道を長年続けているという話をしたところ、お客様も剣道をしており共通の知人がいたというケースがありました。その後リラックスした様子でお客様の本音を伺うことができました。

お客様に関心を持つ

お客様の話に耳を傾け、積極的に聞き手になることは、不動産営業における信頼関係構築の鍵です。例えば、山田さんが家族向けの物件を探しているとします。山田さんに対する営業としてのアプローチは以下のように行います。

営業のアプローチ
  1. オープンクエスチョンで問いかける
    • 山田さんに対し、「お子様はお幾つですか?」「家族での生活に最も重要だと思うのは何ですか?」などの質問を行います。これにより、山田さんの家族構成や生活スタイルについて深く理解することができます。
  2. 詳細について尋ねる
    • 山田さんが「子供の学校の近くが良い」と言った場合、「ご希望の学校はどちらですか?」「通学路の安全性についてもご懸念されますか?」など、具体的なフォローアップ質問をします。
  3. 反応を観察し、さらに掘り下げる
    • 山田さんの反応や表情を注意深く観察し、関心の高いポイントについてさらに掘り下げます。例えば、山田さんが公園の近くに住みたいと話した場合、「近くの公園でどのような活動をされたいですか?」「お子様は屋外での遊びを好みますか?」などと尋ねることで、山田さんの家族にとって理想的な環境をより詳細に理解できます。

このような聞き手としての姿勢を取ることで、山田さんの本当のニーズや関心を把握し、そのニーズに合った物件を提案することが可能になります。

また、お客様が話す内容に真剣に耳を傾けることで、信頼感を高め、より良い関係を築くことができるでしょう。

お客様のニーズに合った提案を行う

全てのお客様に完全に合う物件はほとんど存在しません。お客様のニーズや希望条件を詳細に聞き出し、適切な提案を行いましょう。

井口
ここではお客様の詳細なニーズや希望条件を丁寧に聞き出し、それに基づいて提案した結果、顧客の期待を超える物件を提供し、成約に至った実例をご紹介します

あるお客様は資産形成目的で、投資用区分マンションの購入を検討していました。

自己資金、顧客が期待する収益や投資利回り、キャッシュフローの希望条件を詳細にヒアリングしたところ、融資を受けての1棟アパートの購入も視野に入ることがわかりました。

区分マンション購入の場合とアパート購入の場合の比較シミュレーションを行い、アパートを購入した場合の方がお客様の希望を超えるキャッシュフローや税務的効果を得られるという説明を行いました。

その提案にお客様は非常に満足いただき、当初検討していた区分マンションではなくアパートを購入しました。

決定権者を確認する

不動産取引において、物件購入の決定権者を特定し、その人物と積極的にコミュニケーションを取ることは、取引の成功に不可欠です。以下に、このアプローチの具体例を示します。

例として、中村夫妻が新しい住宅を探しているとします。このケースにおける決定権者の確認とコミュニケーションは以下のように行います。

決定者へのアプローチ
  1. 決定権者の特定
    • 中村夫妻と初めて会った際、どちらが物件選びの主要な決定を行うかを探るための質問をします。例えば、「物件選びにおいて、どのような点が最も重要ですか?」という質問を通じて、夫婦の間での役割分担を理解します。
  2. 決定権者との直接的なコミュニケーション
    • 物件の案内や情報提供の際、特に決定権を持つ中村さん(例えば奥様)に対して、そのニーズや希望を重視します。例えば、「このキッチンのレイアウトはいかがでしょうか?」や「ご主人の通勤の便に関してはどのようにお考えですか?」といった質問をすることで、彼らの要望を深く理解します。
  3. 意思決定プロセスへの理解
    • 中村夫妻が物件を選ぶ際の意思決定プロセスを理解するため、具体的な質問をします。例えば、「最終的な決定を行う前に、どのような検討をされますか?」と尋ねることで、夫妻が重視するポイントや決定の流れを把握します。

このように決定権者を特定し、その人物に焦点を当てたコミュニケーションを行うことで、より効率的で成果に繋がる提案が可能になります。

また、決定権者のニーズを正確に把握することは、成約への道をスムーズに進めるためにも重要です。

希望条件を明確にし、優先順位を確認する

優先事項の整理

お客様の希望条件を詳細に聞き出し、どの条件が最も重要かを確認しましょう。これにより、効果的な提案が可能です。

井口
お客様の複数ある希望条件の中から最も重要な条件を特定し、それに重点を置いた提案を行ったことで、顧客の信頼を獲得し、成約に成功した事例を紹介します

投資用物件購入検討のお客様のことです。

予算5,000万、表面利回り8%以上、駅徒歩10分以内、築年数20年以内、将来的に発展が見込まれるエリアなど、数々の希望条件が挙げられました。

全ての条件に合致する物件はありませんでした。しかし、希望条件の中での優先順位を確認したところ、将来的に発展が見込まれるエリアでの購入を重視されているようでした。

提案した物件の利回りは希望条件に届かない物件でしたが、将来的に複合商業施設の開発が決定しているエリアの近郊であったことが決め手となり、成約に至りました。

まとめ

顧客のニーズを引き出すためには、質問の選び方やお客様との関係構築、正確な情報収集が欠かせません。お客様の興味や優先事項を理解し、そのニーズに合わせた提案を行うことで、成功への一歩を踏み出しましょう。

今回お伝えした事が、皆さんの営業の一助になれば幸いです!もし不安な点があれば、私たちにご相談ください。

また当メディア「不動産営業の教科書」では、不動産営業の方々に役立つ情報をお伝えしていきますので、ぜひYouTubeチャンネルや、別の記事も参考にしてみてください。

※お問い合わせ 営業研修、セミナーなどのご依頼はこちらのコンタクトフォームよりご相談ください。

また、この度「不動産営業の教科書」が電子書籍になりました。ブログでは伝えきれない基本的な事や、不動産営業のプロとして知っておきたい事など、私が不動産営業を始めたばかりの時に知りたかった事を存分に載せています。

井口
Amazonから発売中ですので、ぜひご購入ください。

ABOUT US

井口 忠二株式会社 アスパートナー 代表取締役
明治大学商学部卒業。グロービス経営大学院卒業。 三井不動産グループ会社で8年間不動産売買仲介営業に従事。東京23区でエリアトップセールスを2年連続受賞する。東京と福岡で勤務し、5年連続優秀営業社員賞受賞。 その後、株式会社アスパートナー設立。 公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、MBA(経営学修士)、相続対策専門士、AFPファイナンシャルプランナー、損保トータルプランナー